大検(高卒認定試験)とは?名称変更の経緯と合格後にできること

「大検」で検索して調べ始めた方に先にお伝えすると、大検という試験は今は存在しません。 2005年度(平成17年度)に「高等学校卒業程度認定試験」という試験に切り替わっており、 現在同じ位置づけの試験を受けたい場合は、この高卒認定試験に出願することになります。

この記事では、名称が変わった経緯、大検の時代とは違うポイント、そして検索でよく 誤解されている「合格すれば高卒になるのか」「就職で高卒扱いされるのか」という点を、 文部科学省の公表資料をもとに整理します(2026年8月10日確認の情報にもとづきます)。

白い机に置かれた黒い表紙のノートとボールペン

「大検」とは何が変わった? 今は「高等学校卒業程度認定試験」と呼ぶ

大検(大学入学資格検定)は昭和26年度から平成16年度まで実施された試験で、 平成17年度(2005年度)から「高等学校卒業程度認定試験」(高卒認定試験)に 切り替わりました。 法的な根拠は学校教育法第90条第1項です。

名称が変わっただけでなく、受験できる人の範囲も変わっています。文部科学省は 制度変更の内容として「従前の大学入学資格検定では認められていなかった、 全日制高等学校等の在籍者にも受験資格を付与している」と説明しています。 つまり大検の時代は、全日制高校に在籍したまま受けることが原則できませんでしたが、 今の高卒認定試験は在籍中でも受験できます(休学中の生徒に限りません)。

大検(〜平成16年度)高卒認定試験(平成17年度〜)
実施期間昭和26年度〜平成16年度平成17年度(2005年度)〜現在
全日制高校在籍者の受験認められていなかった受験できる(在籍中でも可)
法的根拠(現行)学校教育法第90条第1項

古い参考書やブログには今も「大検」という表記が残っていますが、内容としては 現行の高卒認定試験のことを指している場合がほとんどです。以下、この記事では 現在の正式名称である「高卒認定試験」で統一して説明します。

もうひとつ、大検の時代にはなかった実務上のポイントがあります。学校教育法施行規則 第100条第1号により、高卒認定試験で合格した科目は、在籍している高校の校長の判断で 卒業に必要な単位として認定できるとされています。つまり通信制高校などに在籍しながら 高卒認定の一部科目を受けて、その合格を単位として振り替えてもらう、という使い方も 制度上は可能です(認めるかどうかは学校の判断によります)。この使い方については、 記事の後半で通信制高校との比較とあわせてあらためて整理します。

出典:文部科学省 高等学校卒業程度認定試験 概要・パンフレット等(2026年8月10日確認)。

高卒認定に合格すると最終学歴は「高卒」になる?

なりません。 これはこの記事でいちばん誤解されやすいポイントです。

文部科学省は公式Q&Aで次のように明言しています。

Q. 高卒認定試験に合格すると、最終学歴は高等学校卒業になるのですか? A. なりません。 合格者は高等学校を卒業した方と同等以上の学力があると 認められますが、高等学校を卒業しなければ最終学歴は高等学校卒業とはなりません。

高卒認定試験で得られるのは「高等学校を卒業した人と同等以上の学力があるという 認定」であって、卒業という経歴そのものではありません。最終学歴として「高等学校 卒業」を書きたい場合は、通信制高校などに在籍して卒業する必要があります。

木の机に置かれた白紙をはさんだクリップボードと鉛筆 通信制高校と高卒認定試験の違いを制度面から比較した記事は 通信制高校と全日制の比較記事の よくある質問でも扱っています。

出典:文部科学省 高卒認定試験Q&A(2026年8月10日確認)。

就職や資格試験では高卒として扱ってもらえる?

一部の採用試験・国家資格に限って「同等」として扱われますが、民間企業一般が 必ず高卒扱いするという保証ではありません。

オフィスビルが立ち並ぶ通り

文部科学省は、高卒認定試験の合格を高等学校卒業と「同等とみなしている」採用試験・ 国家資格の一覧を公表しています。採用試験の例としては国家公務員一般職(高卒者試験)、 皇宮護衛官、入国警備官、税務職員、海上保安大学校・海上保安学校、気象大学校、 防衛大学校、裁判所職員一般職(高卒者区分)などが挙げられています。国家資格の例 としては教員資格認定試験、建築物環境衛生管理技術者、第一種・第二種衛生管理者、 作業環境測定士、職業訓練指導員、各種施工管理技術検定などがあります。

ただしこの一覧について、文科省自身が但し書きを付けています。「ただし、 全ての試験・資格を網羅しているわけではない」「試験・資格によっては要件等が 変更されていたり、合格以外に実務経験等が求められたりするものもございます」。 つまりこの一覧は限定列挙であって、書かれていない企業・資格が高卒認定を高卒として 扱わないというケースは当然あり得るということです。文科省の資料には「経済界等に 働きかけ、社会的通用性を高めるよう努めている」ともありますが、これは今後の努力目標であり、 現時点で民間企業全般が高卒扱いをすると約束されているわけではありません。

就職・資格取得を主な目的にしている場合は、志望先の採用要項や受験資格の項目に 「高等学校卒業程度認定試験合格者」が明記されているかを、応募前に個別に確認するのが 確実です。

出典:文部科学省 高等学校卒業程度認定試験合格を高等学校卒業と同等とみなしている採用試験・資格一覧(2026年8月10日確認)。

令和8年度から試験科目が変わった(9〜10科目)

令和8年度第1回試験から「情報」が試験科目に加わり、合格に必要な科目数は 9〜10科目になりました。 これまで「8科目」で紹介されてきた参考書や体験記も ネット上に多く残っていますが、令和8年度以降に受験する場合は科目構成が違うので 注意してください。

計算問題が並んだ練習用紙と赤い鉛筆

教科試験科目要件
国語国語必修(1科目)
地理歴史地理/歴史各必修(2科目)
公民公共必修(1科目)
数学数学必修(1科目)
理科科学と人間生活/物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎「科学と人間生活」+基礎科目1(計2科目)または基礎科目3(計3科目)
外国語英語必修(1科目)
情報情報必修(1科目・令和8年度第1回から追加)

理科の選び方によって科目数が9科目か10科目かに分かれるため、「何科目受ければ 合格できるか」は自分がどちらの理科の組み合わせを選ぶかで決まります。

出典:文部科学省 高卒認定試験の試験科目の変更等について(2026年8月10日確認)。

受験資格・受験料はいくら?

受験資格は「受験する年度の終わりまでに満16歳以上になる方」で、高校に在籍中でも 受験できます。 ただしすでに大学入学資格を持っている方は受験できません。合格者が 18歳未満の場合、原則として満18歳の誕生日から合格者となりますが、年度内に満18歳に なるのであれば大学受験自体は可能です。

受験料は受験する科目数によって変わり、単一の金額ではありません。

受験する科目数受験料
1〜3科目4,500円
4〜6科目6,500円
7〜10科目8,500円

科目免除を使って受験科目数を絞り込めば受験料も下がる仕組みです。免除については 後述します。

出典:文部科学省 高等学校卒業程度認定試験トップページ(2026年8月10日確認)。

令和8年度の試験日程と、出願で失敗しないための注意点

試験は年2回(8月・11月)実施されます。この記事の公開時点(2026年8月17日)では、 令和8年度第1回試験(8月6日・7日実施)はすでに終了しており、次に受けられるのは 第2回で、出願期間は7月21日から9月11日(消印有効)です。

第1回第2回
受験案内配布開始令和8年4月6日令和8年7月21日
出願期間4月6日〜5月13日(消印有効)7月21日〜9月11日(消印有効)
試験日8月6日・7日11月7日・8日
結果通知9月1日発送予定12月8日発送予定

出願の際は、文部科学省が示す次の2点に特に注意してください。

住宅街の歩道に立つ赤い郵便ポスト

「次はいつ受けられるか」は公開日によって変わる情報なので、この記事を読んでいる 時点で出願期間が過ぎていないか、必ず文部科学省の最新ページで確認してください。

試験会場は都道府県ごとに1会場(全国47会場)が原則で、これに加えて矯正施設でも 実施されています。自宅から遠い会場しかない都道府県もあるため、出願前に受験案内で 会場の所在地も確認しておくと当日の移動計画が立てやすくなります。

出典:文部科学省 高等学校卒業程度認定試験トップページ(2026年8月10日確認)。

科目免除は使える? 全科目免除はできる?

全ての科目の免除を受けて合格者になることはできません。最低1科目以上は受験して 合格する必要があります。 通信制高校などに在籍・卒業した経験があり、すでに一定の 単位を修得している場合は、その単位に応じて一部科目が免除されます。

免除の手続きには、以前在籍していた高校が発行する「単位修得証明書」が必要です。 ここで見落とされがちな注意点があります。在籍していた期間から一定以上の年数が 経過していると、学校側の書類の保存年限が過ぎており、証明書自体が発行できない 場合があります。 高校を中途退学してから時間が経っている方が高卒認定を検討する 場合は、まず在籍していた(していなかった)高校に単位修得証明書を発行できるか 問い合わせておくと、出願直前に慌てずに済みます。

白い机の上に積み重ねられた大量の紙

なお免除に必要な修得単位数は入学年度によって変わるため、「何単位あれば免除される か」は自分の入学年度を基準に確認する必要があります。令和4年4月以降に高校へ入学した 方の場合、主な科目の必要単位数は次のとおりです。

試験科目免除に必要な修得単位数(令和4年4月以降入学者)
国語「現代の国語」2単位+「言語文化」2単位(両方必要)
数学「数学Ⅰ」3単位
英語「英語コミュニケーションⅠ」3単位
情報「情報Ⅰ」2単位

在籍していた高校での履修内容が入学年度によって異なるため、単位修得証明書を 取り寄せたうえで、どの科目が免除対象になるかを個別に確認するのが確実です。

出典:文部科学省 高等学校卒業程度認定試験の科目免除(2026年8月10日確認)。

高卒認定と通信制高校、どちらを選ぶべき?

優劣の問題ではなく、何を得たいかで選ぶものです。 高卒認定試験は「大学・専門学校 などの受験資格」を早く・短期間で得たい場合に向き、通信制高校は「高等学校卒業という 学歴そのもの」と「在籍する学校」が欲しい場合に向きます。

白い背景に並べた黒いノートとペン、ヘッドホン

高卒認定試験通信制高校
最終学歴高校卒業にはならない(学力の認定のみ)高等学校卒業になる
在籍する学校なし(試験のみ)あり(卒業まで在籍)
かかる時間の目安年2回の試験に合格すれば完了卒業要件(74単位・3年以上の在籍等)を満たすまで
得られるもの大学・短大・専門学校の受験資格高校卒業資格+大学等の受験資格

判断の分かれ目は主に3つです。

  1. 「高校卒業」という最終学歴が必要かどうか。 就職先や志望先が高校卒業を 条件にしている場合は、高卒認定だけでは条件を満たせません。
  2. かけられる時間とお金のバランス。 通信制高校は卒業までに数年かかる分、 学校としての学び直しの機会にもなります。学校ごとの学費の具体例は N高等学校の学費を公式ページの数字で整理した記事で 確認できます。
  3. 在籍先(所属する学校・仲間)が欲しいかどうか。 高卒認定は試験制度なので 学校生活そのものはありません。学校生活や人間関係を求める場合は通信制高校の ほうが合う可能性があります。在校生・保護者の実際の声は 通信制高校と全日制の違いを比較した記事に まとめています。

中学生の段階で不登校などの事情から進路に迷っている場合は、高卒認定は 選択肢の一つにすぎません。全日制・定時制・通信制・高等専修学校といった 他の選択肢とあわせて比較したほうが判断しやすいので、 不登校の中3の進路選択肢をまとめた記事も あわせて読むことをおすすめします。

よくある質問

「大検」と「高卒認定試験」は同じものですか? 今の高卒認定試験は、かつての大検(大学入学資格検定)が平成17年度(2005年度)に 制度変更されたものです。試験の位置づけは引き継がれていますが、全日制高校在籍者にも 受験資格が広がるなど内容は変わっています。今から受ける場合の正式名称は 「高等学校卒業程度認定試験」です。

高卒認定に合格すれば大学を受験できますか? できます。文部科学省は、合格者に大学・短期大学・専門学校の受験資格が与えられると 説明しています。ただし合格者が18歳未満の場合、原則として満18歳の誕生日から合格者 として扱われる点には注意してください(年度内に満18歳になる場合は大学受験は可能です)。

一度にすべての科目を受けなくてもいいですか? 科目ごとに合格・不合格が決まり、合格した科目は次回以降に持ち越せます。ただし 全科目の免除を受けて合格者になることはできず、最低1科目以上は自分で受験して 合格する必要があります。

受験料はいくらですか? 受験する科目数によって変わり、1〜3科目は4,500円、4〜6科目は6,500円、7〜10科目は 8,500円です。単一の金額ではないため、自分が受験する科目数にあわせて確認してください。

高卒認定に合格すれば、就職で高卒として扱ってもらえますか? 文部科学省が「同等とみなしている」採用試験・国家資格の一覧を公表していますが、 これは限定列挙で、文科省自身も「全ての試験・資格を網羅しているわけではない」と 注記しています。一覧に載っていない民間企業が必ず高卒として扱ってくれるとは 限らないため、志望先の採用要項で個別に確認するのが確実です。

まとめ

高卒認定と通信制高校のどちらが自分に合うかで迷う場合は、 通信制高校をテーマにした記事の一覧から 学費・入試・卒業後の進路など気になるテーマを選んで読み進めることができます。

制度・金額は変わることがあります。出願前は必ず 文部科学省 高等学校卒業程度認定試験トップページで 最新の受験案内を確認してください(本記事の情報は2026年8月10日確認時点のものです)。