N中等部とは?学費・キャンパス・出席扱いとフリースクールとの違い

「N中等部」を調べると、学費・出席扱い・フリースクールとの違いといった言葉が並びます。名前に「中等部」と付くため中学校の一種だと受け取られやすいのですが、公式サイトはその点を最初に否定しています。

この記事は、運営する角川ドワンゴ学園が公開している情報と、文部科学省の通知だけを使って、N中等部が制度のどこに位置しているのかを整理したものです(2026年8月12日に各公式ページで確認)。金額や制度は変わるため、検討する段階では必ず公式の最新情報を見てください。

結論

N中等部は、学校教育法第一条に定められた中学校ではありません。生徒は地元の中学校に籍を置いたまま通う形になり、中学校卒業の資格はN中等部からではなく在籍している中学校から出ます。

そして、N中等部に通った日を在籍中学校の出席として扱うかどうかを決めるのは、N中等部ではなく在籍中学校の校長です。公式サイトに出席扱いを約束する記述はなく、書かれているのは「了承を得られた場合、学習状況等報告書を在籍校へ電子メール送信するなど、連携を取ってサポートします」までです。判断の枠組みは文部科学省の通知(令和元年10月25日)に置かれています。

開いた参考書とペン、奥にノートパソコンが置かれた机

N中等部とは?学校教育法第一条の「中学校」ではない民間のスクール

N中等部は、角川ドワンゴ学園が運営する、中学生の年代を対象にした民間のスクールです。学校教育法第一条に定められた中学校ではなく、今の中学校に籍を置いたまま通う場所として設計されています。

公式サイトは、この点について同じ文言を3か所(N中等部について/よくある質問/ネットコースの入学までの流れ)に置いています。

N中等部は学校教育法第一条に定められた中学校ではありません。 ご自身の中学校に在籍したままN中等部で学んでいただきます。

公式が自らに使っている呼び名は「プログレッシブスクール」です。原文は「N中等部は、教育機会確保法〔※〕の趣旨を鑑みた、新しいコンセプトのスクール、『プログレッシブスクール』です」となっています。ここで言う教育機会確保法は、正式には義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(平成28年法律第105号)です。

出典:N中等部についてよくある質問ネットコースの入学までの流れ(いずれも2026年8月12日確認)、e-Gov法令検索「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」

整然と並んだ空の机と椅子

「一条校ではない」が実際に効いてくる3つの場面

制度上の位置づけは、家庭が判断するときに次の3点として現れます。

出典:N中等部についてよくある質問(いずれも2026年8月12日確認)。

なお、同じ角川ドワンゴ学園が運営していても、N高等学校・S高等学校・R高等学校は学校教育法第一条の高等学校で、N中等部とは制度も学費体系も別物です。3校の関係はN高・S高・R高の違いを本校スクーリングの会場から整理した記事にまとめています。

N中等部に通うと出席扱いになる?判断するのは在籍中学校の校長

「N中等部に通えば在籍中学校の出席になります」とは言えません。出席扱いにするかどうかを決めるのは在籍中学校の校長で、N中等部の公式サイトに出席扱いを約束する記述はありません。

卓上カレンダーの日付に赤い画びょうが刺さっている

判断の根拠になるのは、文部科学省の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)の別記1です。学校外の施設で相談・指導を受けた場合に、校長が指導要録上の出席扱いにできる要件が示されています。

不登校児童生徒が学校外の施設において相談・指導を受けるとき,下記の要件を満たすとともに,(略)校長は指導要録上出席扱いとすることができる。 (1)保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。 (2)当該施設は,教育委員会等が設置する教育支援センター等の公的機関とするが,公的機関での指導の機会が得られないあるいは公的機関に通うことが困難な場合で本人や保護者の希望もあり適切と判断される場合は,民間の相談・指導施設も考慮されてよいこと。ただし,民間施設における相談・指導が個々の児童生徒にとって適切であるかどうかについては,校長が,設置者である教育委員会と十分な連携をとって判断するものとすること。 (3)当該施設に通所又は入所して相談・指導を受ける場合を前提とすること。

ここから読み取っておきたい点は3つあります。

  1. 原則は公的機関。通知が本則として挙げているのは、教育委員会等が設置する教育支援センター等です。民間の相談・指導施設は「公的機関での指導の機会が得られない、あるいは公的機関に通うことが困難な場合」に「考慮されてよい」という位置づけで、公的機関と横並びに扱われているわけではありません。N中等部は教育委員会等が設置した公的機関ではないため、この但し書きの側で判断されることになります。
  2. 決めるのは学校と教育委員会。通知は「校長が、設置者である教育委員会と十分な連携をとって判断する」と書いています。家庭とN中等部の話し合いだけで決まる話ではありません。
  3. 出発点は要件(1)。保護者と学校の連携が最初の要件に置かれているため、実務としては入会を決める前に在籍中学校へ相談するのが順序になります。

出席扱いとなった場合の記録方法についても、通知は「出席日数の内数として出席扱いとした日数及び児童生徒が通所又は入所した学校外の施設名を記入」することとしています。出席日数とは別枠で加算されるのではなく、内数として記録される形です。

出典:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」別記1通知本体(いずれも2026年8月12日確認)。

ネットコースの扱いは別の枠組みになる

上に引いた要件(3)は「当該施設に通所又は入所して相談・指導を受ける場合を前提とすること」です。つまり別記1は、施設に通う形を想定した要件になっています。

自宅でICT等を活用して学習した場合の出欠の扱いは、同じ通知の別記2「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」という別の枠組みで定められています。本記事は別記2の中身までは確認していないため、ネットコースが出席扱いになるかどうかについては踏み込みません。ネットコースを検討していて出席扱いも重視するなら、別記2を在籍中学校・教育委員会と一緒に見ながら相談するのが現実的な進め方です。

不登校の状態から進路を考えている場合の全体像は、不登校の中学生の進路の選択肢を文部科学省の資料から整理した記事にまとめています。中学卒業後の進路まで見通してから、中学在学中の居場所を決めるほうが、判断がぶれにくくなります。

出典:文部科学省「別記2」(2026年8月12日確認・タイトルとURLのみ確認)。

N中等部の学費はいくら?(2026年8月時点)

N中等部の学費は、ネットコースが入学金22,000円+学費40,700円/月、通学コースが入学金110,000円+コース別の学費+設備管理費11,000円/月です(いずれも公式表記の税込)。通学コースは学費と設備管理費の2本立てである点が見落としやすいところです。

電卓と眼鏡、書類ファイルが置かれた白い机

コース入学金(税込)学費(月額・税込)設備管理費(月額・税込)
ネットコース22,000円40,700円
通学コース 週1日(火)110,000円37,400円11,000円
通学コース 週3日(月・水・金)110,000円56,100円11,000円
通学コース 週5日(月〜金)110,000円73,700円11,000円

出典:ネットコースの学費通学コースの学費(いずれも2026年8月12日確認)。ネットコースの学費ページに設備管理費の費目は挙がっていないため「―」としています。

長期休みがある月についても、公式は「暦や長期休みなどの関係で、月ごとの授業回数は前後しますが、(略)月単位の学費設定となっております」と説明しています。授業が少ない月に学費が下がる仕組みではありません。

学費のほかにかかるお金

公式が「学費以外にかかる費用」として挙げているものは、次のとおりです。

出典:学習ツール通学コースの学費ネットコースの学費(いずれも2026年8月12日確認)。

年額に直すときは自分で計算することになる

公式が示しているのは月額なので、年間でいくらかかるかは自分で計算する形になります。たとえば通学コースの週3日なら、次の計算です。

(学費56,100円+設備管理費11,000円)× 12か月 = 805,200円/年

初年度はここに入学金110,000円と検定料11,000円、そしてMacBookの購入費が加わります。この年額は公式が発表している数字ではなく、公表されている月額から計算した目安です。月ごとの授業回数が前後しても月単位の学費設定だと公式が明記しているため、12か月分として計算しています。

支払い方法と、休会制度がない点

費用のかかり方で、金額そのものより効いてくるのが支払いの実務です。公式には次のように書かれています。

口座振替や振込が案内されていないこと、合わなかったときに一時的に止める休会の仕組みがないことは、月額で払い続ける前提を考えるうえで押さえておきたい点です。

出典:ネットコースの学費通学コースの学費(いずれも2026年8月12日確認)。

就学支援金は中学生の段階では使えない

高校の学費を軽くする「高等学校等就学支援金」は、対象となる学校の種類が法令で限定して挙げられており、そこに挙がっているのは高等学校、中等教育学校の後期課程、特別支援学校の高等部、高等専門学校の1〜3年、専修学校の高等課程・一般課程などです。中学生の段階の学びは、この制度の対象として挙げられていません。N中等部の学費は、公的な授業料支援を前提にせずに考えることになります。

就学支援金そのものの計算方法は、通信制高校の就学支援金を単位数から計算する方法をまとめた記事で整理しています。高校段階に進んだあとの費用感は、N高等学校の学費の内訳を公式の数字で整理した記事のほうが実態に近い数字です。N中等部の月額制と、N高の単位制の学費はまったく別の仕組みなので、同じ表で足し合わせないほうが混乱しません。

出典:文部科学省「高等学校等就学支援金制度(新制度)の概要」PDF p.1文部科学省「高校生等への修学支援」(いずれも2026年8月12日確認)。

通学コースのキャンパスは全国23ヵ所

通学コースには、公式によると全国23ヵ所のキャンパスがあり、生徒は通いたいキャンパスに所属します。東京8か所・大阪3か所と都市部に集中しています。

電線と低層の建物が並ぶ日本の街の通り

都府県キャンパス
宮城仙台広瀬通
埼玉大宮
千葉海浜幕張(NEW)/松戸
東京新宿/秋葉原/晴海(NEW)/日暮里/錦糸町駅北口/蒲田西口/池袋/町田
神奈川横浜/相模原橋本
石川金沢
愛知名古屋栄
滋賀滋賀草津
大阪天王寺/江坂/枚方(NEW)
兵庫神戸三宮
奈良奈良西大寺
福岡福岡薬院

出典:キャンパス紹介(2026年8月12日確認。「NEW」の表記は公式サイトのまま)。

北海道、東北(仙台以外)、中国・四国、九州(福岡以外)にはキャンパスが置かれていません(2026年8月12日時点の公式一覧に基づく)。通える範囲にキャンパスがない地域では、選択肢は実質的にネットコースです。名古屋・横浜・大阪・福岡で探している場合は、上の表のとおり該当キャンパスがあります。

フリースクールとの違いは、呼び方ではなく制度上の位置づけで見る

公式はN中等部を「フリースクール」とは呼ばず、「プログレッシブスクール」と表現しています。教育方針のページでは、学びの場として「中学校、教育支援センター、フリースクール、学習塾など」を挙げたうえで、「新たな選択肢として、N中等部はプログレッシブな学びの場を提供します」と書いています。フリースクールを別のものとして並べ、その横に自分を置く書き方です。

一方で文部科学省の通知は、学校外の場を「民間の相談・指導施設」と呼びます。呼び方の主体が違うだけで、どちらも学校教育法第一条の学校ではないという点では同じ側に立っています。

学校教育法第一条の学校か中学校卒業の資格出席扱いの決め方
在籍している中学校第一条の中学校にあたるここから出る出欠を記録する側。校長が指導要録を管理する
N中等部公式が「中学校ではありません」と明記出ない(在籍中学校から出る)在籍中学校の校長が判断。公式は出席扱いを約束していない
民間の相談・指導施設(通知の言葉)学校ではない出ない校長が教育委員会と連携して判断(通知 別記1)

出典:N中等部について文部科学省 別記1(いずれも2026年8月12日確認)。

つまり比較するときは、施設が名乗っている呼び名ではなく、①学校教育法第一条の学校かどうか ②在籍中学校の校長が出席扱いをどう判断するか ③費用がいくらで、どう支払うかの3点で見ると、性質の違いがはっきりします。通知は民間施設について「参考として、判断を行う際の何らかの目安を設けておくことが望ましい」として、「民間施設についてのガイドライン(試案)」も添えています。

高校段階の選択肢と混ざりやすいところなので補足すると、通信制高校は学校教育法第一条の高等学校です。制度上の違いは通信制高校と全日制の違いを制度面から比較した記事で整理しています。

対象・入学時期・選考の方法

開いた週間手帳と方眼のノート

入学の条件と時期、選考の方法は、コースによって違います。2026年8月12日時点の公式の記載は次のとおりです。

出典:ネットコースの入学までの流れ通学コースの入学までの流れよくある質問(いずれも2026年8月12日確認)。

よくある質問

N中等部を卒業すると、中学校を卒業したことになりますか? なりません。公式が「N中等部は学校教育法第一条に定められた中学校ではありません」と明記しており、生徒は地元の中学校に在籍したまま通います。中学校卒業の資格は、在籍している中学校から出ます。

N中等部に通えば、在籍している中学校で出席扱いになりますか? 出席扱いになると決まっているわけではありません。判断するのは在籍中学校の校長で、文部科学省の通知(令和元年10月25日)別記1の要件に沿って、設置者である教育委員会と連携して判断されます。N中等部の公式サイトにも出席扱いを約束する記述はなく、書かれているのは在籍校との連携をサポートするという内容までです。入会を決める前に、在籍中学校に相談してください。

ネットコースでも出席扱いの対象になりますか? 本記事では判断できません。通知の別記1は「当該施設に通所又は入所して相談・指導を受ける場合」を前提としており、自宅でICT等を活用した学習は別記2という別の枠組みで扱われるためです。本記事は別記2の中身を確認していないので、ネットコースの扱いは、在籍中学校と教育委員会に個別に相談してください。

学費は月額のほかに何がかかりますか? 公式が挙げているのは、共通のMacBook Air(推奨スペックの価格は164,800円(税込)〜・2026年2月現在の最新モデルの価格)、ネットコースのMinecraft(約4,000円)、通学コースのセキュリティーソフト5,000円と学力テスト受験料1回1,850円予定(年間3回実施予定)、そして出願時の検定料11,000円(税込み)です。支払いはクレジットカード払いのみで、入学翌月以降は1カ月分ごとの事前請求になります(学習ツール通学コースの学費/2026年8月12日確認)。

就学支援金は使えますか? 高等学校等就学支援金は、高等学校や中等教育学校の後期課程など、法令で挙げられた学校種を対象にした制度です。中学生の段階の学びは対象として挙げられていないため、N中等部の学費は公的な授業料支援を前提にせずに考えることになります。制度の詳しい適用条件は、お住まいの都道府県または学校に問い合わせてください。

まとめ:判断するときに見る順番

窓辺に置かれた白い椅子とドライフラワー

順番としては、①在籍中学校に出席扱いの考え方を相談する → ②通えるキャンパスの有無とコースを確認する → ③月額と初年度の総額を計算する、の流れが無駄になりにくいと思います。①を後回しにすると、費用まで詰めたあとで前提が変わります。

通信制高校まで含めて中学卒業後の進路を見比べたい場合は、通信制高校をテーマにした記事の一覧から関心のあるテーマを選べます。同じ学園の高校でコースの通い方を比べたい場合は、N高のネットコースと通学コースの違いを学費差と入試の有無で整理した記事が参考になります。

本記事は2026年8月12日時点で確認できた公式情報をもとに整理したものです。学費・キャンパス・入学時期は変更されることがあるため、検討する際はN中等部の公式サイトと、出席扱いについては文部科学省の通知(令和元年10月25日)、そして在籍している中学校・お住まいの教育委員会で確認してください。