通信制高校の学費はいくら?【2026年度】公立・私立の相場を比較

通信制高校とは、レポート提出とスクーリング(面接指導)を柱に、決められた登校日数の範囲で高等学校卒業資格を取得できる課程です。全日制のように毎日通う必要がないぶん、学費の仕組みも全日制とは違う形をしています。

「通信制高校の学費はいくら」という疑問には、実は一言では答えられません。理由は2つあります。ひとつは、公立と私立で計算方法がまったく違うこと。もうひとつは、私立の広域通信制には、金額を公表している学校と、公表していない学校が混在していることです。

この記事は、順位をつけるランキングではありません。公立・私立それぞれの学校が公式サイトで公表している金額を、2026年8月10日時点で確認できた範囲でそのまま並べたものです(比較日: 2026年8月10日)。金額は変わることがあるため、進学先を検討する際は必ず志望校の最新の募集要項で確認してください。

テーブルに置かれた硬貨入りのガラス瓶

結論: 授業料は学校ごとに計算方法が違い、私立の多くは金額を公表していない

先に結論をまとめます。

出典:東京都教育委員会 都立高等学校等の授業料・入学料(2026年8月10日確認)、大阪府立桃谷高校 通信制の授業料等(2026年8月10日確認)。

公立通信制の学費: 都道府県が定める「1単位336円」の中身

書類の上に置かれた電卓とペン

公立の通信制高校は、授業料が都道府県ごとに条例で定められています。東京都の例では次のとおりです。

費目金額備考
入学料500円平成15年度入学生から適用
授業料(通信教育受講料)1単位につき336円 × 履修単位数平成26年度入学生から適用

入学料は「合格発表時に配布する納入通知書兼領収証書」により、合格発表の翌日から起算して5日以内に納める案内になっています。授業料は単位制のため、履修する単位数によって年間の負担が変わります。卒業には3年間で74単位以上の修得が必要です。

出典:東京都教育委員会 都立高等学校等の授業料・入学料(2026年8月10日確認)。

この336円という単価は東京都の場合です。 公立の授業料は都道府県ごとに条例で個別に定められており、他の道府県が同じ金額とは限りません。この記事で確認できたのは東京都と、後述する大阪府の一部の情報にとどまります。志望する公立通信制の授業料を知りたい場合は、その都道府県の教育委員会の公表資料を確認してください。

公立でも、授業料以外にかかるお金があります。大阪府立桃谷高校が公開している例(令和3年度参考、同ページが自ら注記)では、1年間の費用は概算で4万円程度、内訳は次のとおりです。

費目金額(令和3年度参考)
入学料500円
授業料最大9,900円
教科書・学習書等20,000円程度
生徒協議会費・バーコードシール代1,200円
後援会費1,500円
日本スポーツ振興センター加入金250円

出典:大阪府立桃谷高校 通信制の授業料等(2026年8月10日確認・同ページに「令和3年度参考」と注記あり)。

ここで見えてくるのは、「学費が安い」という印象の中身は授業料だけではないということです。桃谷高校の例では、授業料(最大9,900円)よりも教科書・学習書等(20,000円程度)のほうが大きな費目になっています。就学支援金は授業料にしか充てられないため、「授業料が実質無償」であっても、教材費のような授業料以外の出費は残ります。この構造は私立でも公立でも共通しており、高校進学全体でどれくらいの費用が残るかは高校進学にかかる費用を公立・私立・通信制で比較した記事で整理しています。

なお、国が定める就学支援金の算定基準でも、公立通信制の単位制授業料は336円/単位とされており、都立の実額と同じ水準です。

出典:文部科学省 高等学校等就学支援金・新制度の概要(2026年8月10日確認)。

私立・広域通信制の学費: 公表している学校と、公表していない学校がある

テーブルに置かれた明細書のクローズアップ

私立の広域通信制高校の学費は、学校によって公表の粒度が大きく違います。ここでは各校の公式サイトで確認できた範囲を、そのまま並べます。

学校公表されている金額備考
N高等学校(普通科ベーシック)入学金10,000円/授業料 1単位7,200円/施設設備費50,000円/教育関連諸費13,000円入学金は初年度のみ
N高等学校(普通科)入学金10,000円/授業料 1単位12,000円/施設設備費50,000円/教育関連諸費13,000円同上
ルネサンス高等学校(豊田)年間学費の目安130,000円〜(入学金・施設設備費・教育関連諸費の合計)授業料・スクーリング費は別途必要と案内
ルネサンス大阪高等学校年間学費の目安50,000円〜(大阪府外在住は120,000円〜)授業料は別途
NHK学園高等学校公式サイトでは金額を公開していません「2回の分割納入」という案内のみ確認できました

出典:N高等学校 2027年度生徒募集要項ルネサンス高校グループ 学費ルネサンス大阪高等学校 学費NHK学園高等学校 学費(いずれも2026年8月10日確認)。

この表からわかるのは、「私立通信制の相場は1単位◯円」と言い切れるだけの材料がそろわないという実態です。N高のように1単位あたりの授業料を金額で公表している学校がある一方、ルネサンスのように「授業料は別途必要」とだけ案内し、金額そのものは公表していない学校もあります。NHK学園も同様に、分割納入という支払い方法は案内されていますが、金額は確認できませんでした。公表状況が学校ごとに違う、という事実自体が、比較検討する側にとって知っておくべき情報です。N高の学費の内訳と実質負担額を詳しく整理した記事はN高等学校の学費の記事にまとめています。

またこの表の金額は、そのまま横に並べて安い・高いを判断できるものではありません。学校によって「年間学費の目安」に含まれる費目が違うためです。 N高は入学金・施設設備費・教育関連諸費に加えて授業料も金額で示していますが、ルネサンスの「年間学費の目安」は入学金・施設設備費・教育関連諸費のみで、授業料はこの金額に含まれていません。同じ「年間学費」という言葉でも、範囲が違えば数字は比べられません。

もうひとつ見落としやすいのが、スクーリング(面接指導)にかかる交通費・宿泊費、学習に使う端末代は、いずれの学校でも学費に含まれていないという点です。N高の公式サイトも、学費に含まれないものとしてスクーリング参加費用と検定料を挙げています。本校が遠方にある学校を選ぶと、この部分の実費が学校ごとの学費差より大きくなることもあります。

出典:N高等学校 ネットコースの学費(2026年8月10日確認)。

サポート校の費用は「学校の学費」ではない

窓際に机と椅子が並ぶ無人の教室

私立の広域通信制高校を調べていると、「通信制高校は100万円かかる」という情報を見かけることがあります。この金額の実態について、ルネサンス高等学校グループの公式サイトは次のように説明しています。

学校側の説明(原文): 「『通信制高校は100万円かかる』と言われる場合の多くは、学校とは別に通う『サポート校(学習塾のような補習校)』の費用が含まれているケース」

これは広告主側の主張なので、そのまま鵜呑みにはできません。ただし、この構造そのものは文部科学省の点検調査でも指摘されています。文科省は通信制課程の教育課程に関する点検調査で、**「提携するサポート施設をあたかも高校のように表現し、生徒・保護者に誤解を与えていた事案」**があったと報告しています。サポート校は学校教育法上の高等学校ではなく、そこにかかる費用は、今回比較してきた「学費」には含まれません。資料請求や説明会で提示される金額に、サポート校の費用が含まれているかどうかは、必ず確認しておきたい項目です。

出典:ルネサンス高等学校グループ 学費(2026年8月10日確認)、文部科学省 通信制課程における教育課程について(令和8年3月25日)p.7(2026年8月10日確認)。

就学支援金でどこまで支援されるか

授業料には、国の高等学校等就学支援金が充てられます。2026年4月1日に施行された新制度では所得制限がなく、単位制の場合の算定基準は次のとおりです。

区分単位制の算定基準支給期間
公立・通信制336円/単位48月
私立・通信制13,668円/単位48月

支給される単位数には上限があり、通算74単位・年間30単位までです。私立通信制の年額の支給上限は337,200円と定められていますが、この上限額と1単位13,668円という単価の関係は、公式資料からは直接読み取れませんでした。上限額と単位単価は、それぞれ別の基準として公表されている数字として扱ってください。

出典:文部科学省 高等学校等就学支援金・新制度の概要(2026年8月10日確認)。

なお大阪府は独自に「標準授業料」という基準を設け、1単位あたりの授業料を設定する通信制高校に対して1単位12,030円を上限に補助しています。これは大阪府が補助の上限として定める基準額であり、各学校が実際に請求している授業料の金額ではありません。府内の学校がすべて12,030円で授業料を設定しているという意味ではないため、混同しないでください。

出典:大阪府 令和8年度以降の授業料支援制度について(2026年8月10日確認)。

就学支援金の制度全体(所得制限撤廃の経緯・申請方法・対象校種)は高校無償化の制度と手続きをまとめた記事で整理しています。授業料以外の教科書代・教材費を支援する高校生等奨学給付金などは授業料以外を支える制度をまとめた記事で確認できます。

通信制と全日制、学費の考え方の違い

通信制高校を検討する場合、比較対象になりやすいのが全日制です。全日制は毎日の通学が前提で、通学定期代や制服代が固定費として発生します。通信制はスクーリング(面接指導)の日数分だけ交通費がかかる仕組みで、通学コースを選ばない限り毎日の通学費用は発生しません。制度面の違いは通信制高校と全日制の違いを比較した記事にまとめています。私立と公立の初年度費用の差については私立高校と公立高校の違いを整理した記事、通学コースを選んだ場合に費用がどう変わるかはN高のネットコースと通学コースの違いを比較した記事で扱っています。

通信制高校の学費でよくある質問

通信制高校の学費は、全日制より必ず安いと考えていいですか。 一概には言えません。授業料だけを見れば公立・私立とも通信制のほうが低く設定される傾向がありますが、私立の広域通信制では授業料を公表していない学校があり、通学コースを選ぶと交通費や施設利用にかかる費用が加わります。比較するときは、同じコース・同じ通い方で費用の範囲を揃える必要があります。

私立通信制で見かける「年間◯円〜」という金額は、学校に払う総額と考えていいですか。 学校や記載のしかたによって異なります。今回確認した範囲では、N高等学校は入学金・授業料・施設設備費・教育関連諸費をそれぞれ金額で示していますが、ルネサンス高等学校グループの「年間学費の目安」には授業料が含まれておらず、別途必要と案内されています。金額だけでなく、何が含まれているかを募集要項で確認してください。

サポート校に通う場合の費用も、この記事の学費に含まれますか。 含まれません。サポート校は学校教育法上の高等学校ではなく、通信制高校とは別の契約になります。文部科学省の点検調査では、提携するサポート施設を高校のように表現していた事案が指摘されています。資料請求時に提示された金額に、サポート校の費用が含まれているかどうかを個別に確認する必要があります。

就学支援金を使えば、通信制高校の学費は実質無償になりますか。 授業料の部分に限れば、上限の範囲内で実質の負担が小さくなる学校もあります。ただし就学支援金が充てられるのは授業料のみで、入学金・施設設備費・教育関連諸費・教科書代などは対象外です。桃谷高校の例のように、授業料以外の費目のほうが大きくなるケースもあります。

公立通信制と私立通信制、どちらが学費を抑えやすいですか。 授業料の単価だけを見ると、公立(1単位336円)は私立(N高で1単位7,200円〜12,000円)より低く設定されています。ただし私立は施設設備費や教育関連諸費が別途かかり、公立でも教科書代などの費目が積み重なります。学校ごとに費目の立て方が違うため、志望校の公式資料で総額を個別に確認することをおすすめします。

出典:東京都教育委員会 都立高等学校等の授業料・入学料N高等学校 2027年度生徒募集要項文部科学省 高等学校等就学支援金・新制度の概要(いずれも2026年8月10日確認)。

まとめ

通信制高校を全日制と比べて検討している場合は通信制高校と全日制の違いを比較した記事、N高の学費をコース別に詳しく知りたい場合はN高等学校の学費の記事を参考にしてください。数字はすべて2026年8月10日時点で確認できた公式情報に基づいています。制度・金額は変わることがあるため、最終確認は必ず志望校の公式サイト・最新の募集要項で行ってください。

出典: 東京都教育委員会 都立高等学校等の授業料・入学料大阪府立桃谷高校 通信制の授業料等N高等学校 2027年度生徒募集要項N高等学校 就学支援金についてルネサンス高校グループ 学費ルネサンス大阪高等学校 学費NHK学園高等学校 学費文部科学省 高等学校等就学支援金・新制度の概要文部科学省 通信制課程における教育課程について(令和8年3月25日)大阪府 令和8年度以降の授業料支援制度について (すべて2026年8月10日確認)