高校無償化【2026年度】制度の中身と申請手続きを整理
「高校無償化」という言葉をニュースで見かけるものの、 自分の家庭がいくら支援されるのか、何をすればいいのかが 分かりにくい制度です。この記事では、2026年度の制度内容と 手続きの流れを、文部科学省・自治体の公開情報に基づいて整理します (2026年7月時点。制度の詳細は必ず学校・文科省の最新案内で確認してください)。
結論
2026年4月から、高校無償化の正体である「高等学校等就学支援金」は所得制限なしで全世帯が対象になりました。支給上限は公立が年118,800円(授業料と同額)、私立の全日制が年457,200円、私立の通信制が年337,200円です(文部科学省 高等学校等就学支援金制度)。
ただし無償になるのは授業料だけで、入学金・施設設備費・教科書代・制服代・通学費は自己負担のまま残ります。そして自動では支給されず、e-Shienなどでの申請が要ります。原則として申請書が学校に届いた月からの支給で、忘れていた月の分は遡って支給されません。気づいた時点ですぐ学校の事務室に相談してください。


2026年度に何が変わったか
高校無償化の正体は「高等学校等就学支援金」という国の制度です。 国が授業料分を学校に直接支払うことで、家庭の負担を減らす仕組みです。
| 2025年度まで | 2026年度から | |
|---|---|---|
| 所得制限 | 撤廃(2025年度に一律支給化) | なし(全世帯対象) |
| 公立高校 | 年118,800円 | 年118,800円(授業料と同額) |
| 私立・全日制 | 上限 年396,000円 | 上限 年457,200円 |
| 私立・通信制 | 全日制と同基準 | 上限 年337,200円 |
出典:文部科学省「就学支援金・新制度の概要」(PDF)、 N高等学校「高等学校等就学支援金」解説ページ(2026年8月27日確認)。
2026年3月31日に改正法が成立し、4月から所得制限なしの支援が 全世帯に広がりました。文科省の試算では、新たに支給対象になる、 または増額される生徒は約80万人とされています。これで公立と私立の 負担がどこまで近づいたのかは、無償化のあとに私立へ残る納付金を数字で比べた記事で 整理しています。私立の入り口そのものが狭まっている面は 中高一貫校の高校募集停止をまとめた記事で扱っています。
私立通信制の上限33万7,200円は、多くの通信制高校の授業料を カバーできる水準です。たとえばN高等学校のネットコース(普通科 ベーシック)は授業料が年18万円(25単位履修時)なので、上限内に 収まります。詳しくはN高等学校の学費の記事で 整理しています。通信制を選ぶこと自体に不安がある場合は、 「やめとけ」と言われる理由を卒業率などの公表データで検証した記事も 判断材料になります。
無償になるのは「授業料」だけ

ここがいちばん誤解しやすいところです。就学支援金の対象は 授業料のみで、次の費用は対象外=自己負担です。
- 入学金
- 施設設備費・教育関連諸費
- 教科書・教材費、制服代
- 通学費、修学旅行の積立、部活動費
「無償化されたのに請求が来た」と感じるケースの多くは、 この授業料以外の費用です。私立では授業料が支援上限を超える分も 自己負担になります。実際にいくら残るのかは、 公立・私立・通信制の初年度費用を費目ごとに並べた記事の 金額が目安になります。
なお、授業料以外を支援する「高校生等奨学給付金」という別制度があり、 2026年度(令和8年度)から対象が中所得世帯まで広がっています。 従来の対象は年収270万円未満(生活保護世帯・住民税非課税世帯)でしたが、 年収490万円程度まで拡充されました(年収270〜380万円は非課税世帯の1/3、 380〜490万円は1/4の給付額)。国の予算も前年度の152億円から322億円になっています (出典: 文部科学省 令和8年度予算「高校生等奨学給付金」)。 申請先は都道府県または学校で就学支援金とは別なので、当てはまりそうなら 学校の事務室で確認するのが早道です。

手続き: e-Shienでのオンライン申請

就学支援金は自動では支給されません。申請が必要です。 多くの学校では「e-Shien」という国のオンライン申請システムを使います。
流れ(4月入学の場合の典型例)
- 入学後、学校からログインID通知書が配られる
- スマホかPCでe-Shienにログインし、意向登録→認定申請を入力
- 保護者のマイナンバー(カードまたは通知カード等)の情報を提出
- 学校が定める期日(4月中が多い)までに入力を完了する
- 7月ごろに継続届出(収入状況の確認)がもう一度ある
都道府県や学校によって期日・方式が異なります。学校からの 案内プリントが最優先の情報源です。
つまずきやすいポイント
- 保護者の住民税が未申告だと審査が止まる。専業主婦(主夫)や 収入がない場合でも税の申告が必要になることがあります
- 期日を過ぎると手続きが宙に浮く。分からなければ学校の事務室に 電話で聞くのがいちばん早い、というのが各解説サイト共通の助言です

申請を忘れたらどうなるか

検索すると「申請を忘れていた」という相談が知恵袋などに繰り返し 投稿されています。重要なのは次の点です。
- 就学支援金は申請書が学校に届いた月からの支給。原則として 忘れていた月の分は遡って支給されません
- 気づいた時点で1日でも早く学校の事務室に相談する。月をまたぐ前に 動けるかどうかで負担額が変わります
通信制高校では「先引き」方式の学校もある

就学支援金は本来「いったん授業料を払い、後から支給される」形の 学校もありますが、通信制高校の中には支給見込額をあらかじめ 差し引いた金額で請求する学校があります(N高等学校の「先引き」など)。
立て替えが不要になる半面、申請手続きをしなかった場合は差し引いた分が 後から請求(2次請求)されるので、「先引きだから何もしなくていい」 わけではない点に注意が必要です。N高の「先引き」の具体的な仕組みと、 1次請求・2次請求のタイミングは N高の学費の支払い方を整理した記事にまとめています。
なお通学コースを選ぶと、支援の対象にならない費用のほうが大きくなります。 どれくらい差が出るかは ネットコースと通学コースの年間費用を比べた記事で 確認してください。
よくある質問
留年した場合や、卒業まで4年以上かかる場合も支援は続きますか。
就学支援金には支給期間の上限があります。文部科学省のQ&Aは 「高等学校の標準的な修業年限とされている36月まで原則支給されます。 定時制・通信制の課程については原則48月まで支給されます」と説明しており、 支給対象外の例として「3年(定時制・通信制は4年)を超えて在学している生徒」を 挙げています(2026年8月時点)。在学が長引きそうなときは、あと何か月分残っているかを 学校の事務室に確認してください(出典: 文科省 高等学校等就学支援金制度に関するQ&A)。 定時制・通信制で期間が長めに設定されているのは、単位の取り方そのものが 違うためです(卒業要件と単位の取り方を全日制と並べた記事)。
高校を中退して入り直した場合はどうなりますか。
同じQ&Aでは、支給対象外となる生徒として「高校等を既に卒業した生徒」が 明記されています。卒業せずに中退した人が入り直す場合は、上で触れた支給期間の上限が 論点になり、前の学校で受けた分を含めてあと何か月受け取れるかが焦点です。 在籍状況によって変わるので、入学予定の学校か都道府県の担当窓口に確認するのが確実です。 なお、いったん卒業した人向けには「学び直し支援」という別の枠組みが案内されています。 入り直す先として通信制を考えているなら、転入学と編入学で受け入れ時期が違う点も 先に押さえておくと動きやすくなります(転入・編入の時期と単位の引き継ぎをまとめた記事)。
マイナンバーを提出しないと申請できませんか。
文部科学省の制度ページでは、紙で申請する場合に 「マイナンバーカードの写しまたはマイナンバーが記載された住民票の写し等」の提出が 必要と案内されています。オンライン申請と紙申請のどちらを使うか、どの書類で足りるかは 学校や都道府県によって運用が違うため、書類の準備で迷ったら学校の事務室に聞くのが 早道です(出典: 文科省 高等学校等就学支援金制度)。
「高校生等奨学給付金」は、就学支援金の手続きで一緒に申請されますか。
されません。文部科学省のページは「住んでいる都道府県への申請が必要です。 都道府県によっては学校経由で申請することもあります」と案内しており、 就学支援金とは申請先も時期も別の制度です。対象になる世帯や金額は 課程(全日制・通信制など)と設置者で変わるため、学校の事務室か 都道府県の担当窓口で確認してください(出典: 文科省 高校生等奨学給付金)。 奨学金や自治体独自の制度も含めた全体像は 高校進学で使える奨学金・支援制度を整理した記事にまとめています。
まとめ
- 2026年4月から所得制限なしで全世帯が対象に。私立通信制は上限33万7,200円
- 無償になるのは授業料だけ。入学金・設備費・教材費などは自己負担
- 申請しないともらえない。e-Shienの入力期日は学校の案内を最優先に
- 忘れた月の分は原則戻らない。気づいたら即、学校の事務室へ
進学先を検討中なら、通信制高校と全日制の違いや N高等学校の学費の記事もあわせてどうぞ。
中学生の段階で進路そのものを迷っているなら、 内申や出席日数の影響も含めて中3からの選択肢を並べた記事が 出発点になります。
出典: 文部科学省 高等学校等就学支援金制度/ 文科省 e-Shien案内/ リセマム(2026年度改正の解説)/ N高等学校 就学支援金・先引きの案内