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高校中退のその後は?中退率1.4%の統計と最終学歴・進路の選択肢

「高校中退 その後」で検索すると、不安を煽る言葉と、根拠のはっきりしない 体験談ばかりが並びます。この記事は、文部科学省と厚生労働省が公表している 資料だけを使って、実際に何人が中退していて、学歴はどう扱われ、 そこからどんな制度が使えるのかを整理したものです (本記事の情報はすべて2026年8月12日確認時点のものです)。

結論

高校を中退しても、そこから先へ進む制度は1つではありません——別の高校への転入・編入/高卒認定試験/就職の3つが、公的な仕組みとして用意されています。そして学歴の書き方はこうです。統計や公的な分類の上では中学校卒業として扱われますが、履歴書の学歴欄をどう書くかまで定めた公的な決まりはありません。

前者を分けるのは「高等学校卒業という学歴そのものが要るか」「どれだけ時間をかけられるか」の2点です。後者の根拠は厚生労働省の統計上の定義(「中途退学した者は、それ以前に卒業又は修了した課程による」)で、一方、厚生労働省が公表している履歴書様式例には学歴欄の記載方法の説明が置かれていません。

高校中退後の3つの進路。高校卒業の学歴なら編入、進学の受験資格なら年2回の高卒認定、生活・収入優先なら就職と公的支援

黒いアスファルトの上で二手に分かれている黄色い区画線

高校を中退する人は年間どれくらいいる?

令和6年度(2024年度)に高等学校を中途退学したのは44,571人、中途退学率は1.4%です。 文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」による 数字で、令和7年10月29日に公表され、令和8年1月16日に一部修正が入っています。

この調査でいう中途退学率は「各区分における在籍者数に占める中途退学者数の割合」と 定義されています。つまり1年間に何%が辞めたかを示す数字であって、 高校生活3年間で何%が辞めるかを表したものではありません。 「◯人に1人が高校を中退する」という言い方に読み替えると、意味が変わってしまいます。

年度中途退学者数中途退学率
平成27年度49,263人1.4%
平成30年度48,594人1.4%
令和2年度34,965人1.1%
令和4年度43,401人1.4%
令和5年度46,238人1.5%
令和6年度44,571人1.4%

直近10年の中途退学率は1.1%〜1.5%の範囲で動いていて、令和6年度は前年度から 人数・率ともに少し下がりました。急増も急減もしていない、というのがこの10年の姿です。

数字を読むうえで、母集団に1つ注意点があります。この調査の対象は「国公私立高等学校」で、 平成25年度からは高等学校の通信制課程も調査対象に入っています。 44,571人という数字は全日制だけの数字ではなく、定時制・通信制を辞めた人も含んだ合計です。

出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(2026年8月12日確認)。

日本の教室の壁に掛かった「目標と週予定」の黒板と、教材が入った木製の棚

中退の理由でいちばん多いのは何?

最も多い事由は「進路変更」で18,505人・41.5%、次いで「学校生活・学業不適応」が 15,618人・35.0%です。「経済的理由」は549人・1.2%にとどまります。 同じ調査の令和6年度・国公私立計の内訳で、集計は「中途退学者1人につき、 主たる理由を一つ選択したもの」という形式です。

事由人数構成比
進路変更18,505人41.5%
学校生活・学業不適応15,618人35.0%
学業不振2,814人6.3%
その他2,474人5.6%
病気・けが・死亡1,799人4.0%
問題行動等1,506人3.4%
家庭の事情1,306人2.9%
経済的理由549人1.2%

出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(2026年8月12日確認)。

この表から言えることは2つあります。

1つは、「学費が払えなくて辞める」が中退の中心ではないということです。 経済的理由は1.2%で、8つの事由のうち最も人数が少ない項目です。 学費の話は大事ですが、中退という現象の説明としては主役ではありません。

もう1つは、上位2つの事由の性格が違うということです。「進路変更」は 別の進み方を選んだという分類で、「学校生活・学業不適応」は今いる場所が 合わなかったという分類です。この2つで全体の76.5%を占めます。

ただし集計方法には限界があります。主たる理由を1つだけ選ぶ形式なので、 体調と人間関係と進路希望が同時に重なっているようなケースは、 統計の上ではどれか1つに寄せられて記録されます。 自分や家族の事情がこの表のどこか1行にきれいに収まらなくても、 それは珍しいことではありません。

住宅街の細い道路に立つ「通学路」の標識と黄色い横断標識

不登校になったら、そのまま中退することが多い?

令和6年度の高等学校の不登校生徒67,782人のうち、中途退学に至ったのは 10,566人(15.6%)です。 原級留置(留年)になったのは2,963人(4.4%)でした。 裏を返せば、不登校の状態にあった生徒の8割強は、その年度に中途退学していません。

区分人数割合
高等学校の不登校生徒数(全日制53,128人+定時制14,654人)67,782人
うち中途退学に至った者10,566人15.6%
うち原級留置になった者2,963人4.4%

出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(2026年8月12日確認)。

ここで数字の扱いに1つ注意があります。この不登校の67,782人は全日制と定時制の合計で、 通信制課程を含みません。 一方、前の章で見た中途退学者44,571人は通信制課程も含んだ数字です。 母集団が違うので、この2つの数字を割り算して「不登校が中退の何割を占めるか」を 計算することはできません。同じ調査の中でも、指標ごとに対象が違います。

中学校の段階から不登校で高校進学に迷っている場合は、 不登校の中3の進路選択肢と内申・出席日数の影響をまとめた記事で、 進学前の選択肢を先に整理しておくと判断しやすくなります。

高校を中退すると最終学歴はどうなる?

公的な統計の分類では「中学校卒業」として扱われます。 厚生労働省が賃金構造基本統計調査の用語説明で、学歴の数え方をこう定義しています。

現在就学中の者及び中途退学した者は、それ以前に卒業又は修了した課程によることとし、 余暇就学などによって入社時の学歴よりも程度の高い学歴を取得した場合には、 その学歴によっている。

同じページでは、中学卒を「通算修業年限がおおむね9年以下の学歴」、 高校卒を「おおむね12年程度の学歴」と区分しています。高校に2年半在籍していても、 卒業に至っていなければ、統計上は「それ以前に卒業した課程」=中学校卒業として数えられる、 という意味です。

ここで大事なのは、これが「統計と公的な分類の話」だということです。 就職や進学の場面で、在籍していた期間や中退したという経歴が どう評価されるかを国が決めているわけではありません。応募先の要件が 「高等学校卒業」であれば中退では満たせませんが、それは学歴要件の問題であって、 中退の事実そのものが公的に何かを禁じているのではありません。

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査で使用されている主な用語の説明」5 学歴(2026年8月12日確認)。

なお、高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)に合格しても、最終学歴は「高校卒業」には なりません。 文部科学省が公式Q&Aで「なりません」と明言しています。 高卒認定で得られるのは大学・短大・専門学校の受験資格と、 高校卒業と同等以上の学力があるという認定です。この違いは 大検から高卒認定への制度変更と合格後にできることをまとめた記事で 詳しく整理しています。

出典:文部科学省「高等学校卒業程度認定試験Q&A」(2026年8月12日確認)。

書類がはさまれた赤と白のリングファイル、電卓、黒い手帳が置かれた机

履歴書の学歴欄に「中退」をどう書く?公的な決まりはある?

中退の書き方を定めた公的な決まりはありません。 国が示している履歴書の 様式そのものは存在しますが、そこに学歴欄の記載方法の説明は置かれていません。

経緯を整理すると、令和2年7月に日本規格協会がJIS規格の解説から履歴書の様式例を 削除したことを受けて、厚生労働省が「厚生労働省履歴書様式例」を作成しました。 この様式例で示されているのは、次の2点です。

つまり、公正な採用選考の観点から「聞かないこと」を整理した様式であって、 学歴をどう書き分けるかのルールブックではありません。 厚生労働省自身も、この様式例について「採用選考時に使用する履歴書の様式については、 本様式例を参考にしつつ、公正な採用選考をお願いします」「この様式例以外の履歴書や エントリーシートなどを活用することも可能です」と説明しています。

出典:厚生労働省「厚生労働省履歴書様式例」(2026年8月12日確認)。

ネット上には「中退はこう書くのが正解」という説明が数多くありますが、 その多くは公的な根拠のある決まりではなく、慣行や各社の運用の紹介です。 実務としては、応募先が様式や記載方法を指定している場合はそれに従い、 指定がなければ提出前に採用担当へ確認するのが確実です。 学歴欄の扱いに公的な統一ルールがない以上、書き方を1つに断定できる情報源は 存在しない、というのが今の状況です。

高校中退は統計上中学校卒業で高卒認定でも高校卒業にならない一方、履歴書の中退記載には公的な統一ルールがない

中退したあとの選択肢は? 3つの道を比べる

大きく分けて「別の高校に入り直す」「高卒認定を受ける」「就職する」の3つです。 優劣はなく、何を得たいかで分かれます。

別の高校へ転入・編入高卒認定試験就職する
得られるもの高等学校卒業(学歴そのもの)大学・短大・専門学校の受験資格職歴と収入
最終学歴卒業すれば高等学校卒業変わらない(合格しても高卒にはならない)変わらない
在籍する学校あり(卒業まで在籍)なし(試験のみ)なし
かかる時間の目安卒業要件(74単位以上の修得など)を満たすまで年2回の試験で必要科目に合格するまで
判断の分かれ目「高等学校卒業」の学歴が要るか/在籍先が欲しいか進学の受験資格だけを早く得たいか今の生活・収入を優先するか

1. 別の高校へ転入・編入する

在学中に籍を移すのが転入学、いったん退学したあとに別の高校へ入り直すのが編入学です。 中退した人が使うのは編入学のルートになります。卒業に必要な単位数は 学校教育法施行規則第96条で「七十四単位以上」と定められていて、 前の高校で修得した単位を持ち込めるかどうかは、校長が「教育上有益と認めるとき」に 加えることができるという裁量の規定(同規則第97条)です。

出典:e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」(第96条・第97条)(2026年8月12日確認)。

受け入れの時期は学校ごとにまったく違い、随時受け付ける私立の広域通信制もあれば、 年度途中の入学を実施していない公立校もあります。「何月までなら間に合うか」は 一般化できないので、通信制高校の転入・編入の時期と単位の引き継ぎを整理した記事で 学校ごとの違いと卒業要件の考え方を確認してください。 出願そのものの流れは N高の出願の流れと「落ちる」と言われるケースをまとめた記事が 具体的です。

公園の中で二手に分かれた小道と、その分岐点に立つ白い方向標識

2. 高卒認定試験を受ける

高等学校卒業程度認定試験は、合格すると大学・短大・専門学校の受験資格が得られる試験で、 試験は年2回(8月・11月)実施されます。受験できるのは受験する年度の終わりまでに 満16歳以上になる人で、高校に在籍中でも受験できます。前述のとおり 合格しても最終学歴は変わりませんが、「学歴ではなく進学の受験資格が欲しい」場合には 最短の経路になります。

出典:文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」(2026年8月12日確認)。

文部科学省は都道府県教育委員会などへの通知で、 「高卒認定試験については、高等学校等を中途退学した者にその存在が必ずしも 知られていない状況も見られることから、中途退学を予定する者への高卒認定試験の 受験の案内をはじめとする進路変更に係る教育相談の一層の充実をお願いします」と 求めています。国自身が「知られていない」と認めている制度なので、 学校から案内がなかったからといって選択肢にならないわけではありません。

出典:文部科学省「高等学校中途退学者等に対する学習支援等について」(平成29年1月16日・28文科生第707号)(2026年8月12日確認)。

3. 就職する(公的な相談窓口がある)

就職を選ぶ場合も、中退者が1人で探す前提にはなっていません。 文部科学省・厚生労働省などの連名通知「学校、地域若者サポートステーション、 ハローワーク等の関係機関間の連携強化による進路未決定卒業予定者への切れ目ない 支援の実施について」(令和2年12月28日付け2文科初第1427号ほか)では、 学校・地域若者サポートステーション・ハローワークが連携して支援する枠組みが 示されています。同通知には、支援対象者を中途退学者等に限定する見直しが 行われた経緯も記載されています。

出典:文部科学省「学校、地域若者サポートステーション、ハローワーク等の関係機関間の連携強化による進路未決定卒業予定者への切れ目ない支援の実施について」(2026年8月12日確認)。

屋根に覆われた駅のホームと線路、点字ブロックが続く通路

なお、この3つは排他的な選択ではありません。働きながら通信制高校に在籍する、 高卒認定の合格科目を在籍校の単位に振り替える、といった組み合わせも制度上あります。

もう一度高校で学ぶとき、学費の支援はある?

中退後に学び直す人向けに、就学支援金の支給期間が終わったあとも継続して 支給する仕組みがあります。 高等学校等を中途退学した後に再び高校等で学び直す人に対し、 都道府県が卒業までの最長12月(定時制・通信制は最長24月)、 継続して支援金を支給するという制度です。新制度の対象者は所得制限がなく、 上限額は年337,200円とされています。

出典:文部科学省「高等学校等における学び直しへの支援」(2026年8月12日確認)。

白黒で写した机の上の開いた本と、方眼ノートに置かれた2本のペン

就学支援金には支給期間の上限があるため、中退と学び直しをはさむと、 卒業を迎える前に支給期間が尽きてしまうことがあります。この制度は、 その分を卒業まで延ばすための上乗せだと考えると位置づけが分かりやすくなります。

単位数に応じた計算の仕方や、支給期間・上限単位数の考え方は 通信制高校の就学支援金と奨学金を単位数の計算から解説した記事に まとめています。申請先は都道府県または学校で、手続きの開始時期も都道府県ごとに 異なるため、進学先が決まった段階で学校の事務窓口に確認してください。

高校中退後の学び直し支援。支給期間は基本最長12か月、定時制・通信制は最長24か月、上限は年337,200円で新制度は所得制限なし

「高校中退=人生終わり」なのか

この検索語に、励ましも脅しも足しません。ここで書けるのは、 公表されているデータが何を示していて、何を示していないかだけです。

示されていることは次の3つです。

示されていないこともあります。ここまで引いた調査が示すのは、その年度に何人が、 どんな主たる理由で中退したかまでです。中退した人がその後どうなったかを追跡した 公的な統計には、この記事の調査範囲では到達できませんでした。 ネット上で見かける「中退者の◯%が◯◯」といった数字を見たときは、 どの資料の何年の数字で、誰を数えた母集団なのかを先に確かめてください。

判断材料として現実的なのは、他人の平均値ではなく、 自分の場合に使える制度がどれかを1つずつ確認していくことです。 在籍していた高校の単位修得証明書が発行できるか、住んでいる都道府県の 学び直し支援がどうなっているか、志望先が高等学校卒業を要件にしているか。 このあたりは調べれば答えが出ますし、答えが出れば選ぶべき道も絞れます。

よくある質問

高校を中退すると最終学歴は「中卒」になりますか? 公的な統計の分類では中学校卒業として扱われます。厚生労働省の賃金構造基本統計調査の 用語説明が「中途退学した者は、それ以前に卒業又は修了した課程による」と定めているためです。 ただしこれは統計上の数え方であって、履歴書の学歴欄の書き方を国が定めたものではありません。

高校を中退する人は年間どのくらいいますか? 文部科学省の調査によると、令和6年度(2024年度)の中途退学者は44,571人、 中途退学率は1.4%です。調査対象は国公私立高等学校で、平成25年度からは 通信制課程も含まれています。中途退学率は1年間あたりの割合で、 高校生活全体での累積の割合ではありません。

中退の理由でいちばん多いのは経済的な事情ですか? 違います。令和6年度で最も多い事由は「進路変更」で41.5%、次が 「学校生活・学業不適応」で35.0%です。「経済的理由」は549人・1.2%で、 8つの事由のなかで最も人数が少ない項目です。ただし1人につき主たる理由を 1つだけ選ぶ集計なので、複数の事情が重なった場合の実態までは分かりません。

履歴書に中退をどう書けばいいか、公的な決まりはありますか? 学歴欄の記載方法を定めた公的な決まりはありません。厚生労働省は履歴書の様式例を 公表していますが、そこで示されているのは性別欄を任意記載欄にしたことと、 「通勤時間」「扶養家族数」「配偶者」「配偶者の扶養義務」の4項目を設けないことの2点です。 様式例以外の履歴書を使うことも可能だと明記されているため、応募先の指定があれば それに従うのが実務的です。

高卒認定に合格すれば、最終学歴は高卒になりますか? なりません。文部科学省の公式Q&Aが明言しています。合格すると大学・短大・専門学校の 受験資格と「高校卒業と同等以上の学力がある」という認定が得られますが、 高等学校を卒業していない以上、最終学歴は高等学校卒業にはなりません。 学歴そのものが必要な場合は、通信制高校などに編入して卒業する道になります。

まとめ

自分に合う進み方を探す段階に入ったら、 通信制高校をテーマにした記事の一覧から、 学費・転入時期・卒業後の進路など気になるテーマを選んで読み進められます。 通信制と全日制の制度上の違いから確認したい場合は、 通信制高校と全日制の違いを比較した記事が入口になります。

制度と金額は改正されることがあります。中退や編入の手続きに入る前には、 文部科学省「高校生等への修学支援」と、 在籍していた高校・入学を検討している高校の事務窓口で、最新の取り扱いを確認してください。